ダヴィンチ速報

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10円玉をきれいにする方法【酸化還元】【テルミット反応】

今回はやや学術的な話題である。

 10円玉の汚れを取る方法、といえばまずは酢酸(CH3COOH)に浸してみる、というのが思いつかれる方が多いのではないだろうか。

10円玉が黒ずんでくるのは、「酸化」のせいだ。

{2Cu + O_2 \rightarrow 2CuO}

という簡単な化学反応式だ。要は10円玉の多くは純銅ではなく酸素が結合した酸化銅(表面だけ)なのである。これに酢酸をつけると、

{CuO + 2 CH_3 COOH \rightarrow Cu(CH_3 COO)_2 + H_2 O}

という反応が起こる。故に、酸化銅は酢酸によって溶かされてしまうのである。

しかし、私もやってみたことがあるが、実はたいして汚れが落ちない。

なぜか?

 単に反応に時間がかかるだけである。長時間付ければ結構反応するはず。とはいえ、時間がかかるのが嫌な場合は「食塩水を混合する」のがよいだろう。{Cl-}イオンには還元作用が伴うからだ。いわゆる触媒としてこれが機能する。

しかしながらこれでもきれいにするのは限界がある。

他にも似たような「酸」を用いて、ケチャップ、わさび、梅ぼしなど、いろいろなものに10円玉を漬けてみると反応が酢酸より進む場合がある。私はわさびで5日ほど試してみたことがあるが...

 

 

 

 

 

 

 

【!グロ中尉!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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このように、緑色の気色悪い状態となり、しかも掃除しても一部緑色になってしまった!!

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(この後しっかり清掃したが緑青は落ちにくかった。しばらくは利用はしないでおこう)

 

 この青緑色のサビは「緑青(ろくしょう)」といい、銅の化学反応下で生成される塩(例えば先の酢酸銅など)の混合物である。自由の女神は銅製だが青緑色なのは緑青のせいである。普通の酸化銅とは別のもので、おそらくわさびのカプサイシンとの反応の残りかす、といえるだろう。確かに酸化銅自体は還元されているが、緑青が代わりに発生してしまっているので酢酸に付けた酢酸銅の方が目立ちにくくて良い。わさびは失敗。

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緑青 - Wikipediaより引用

 

他に方法はないのか?

実は、興味深い方法がある。以下の動画だ。 

www.youtube.com

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 そう、これは、10円玉を加熱→エタノールに浸すという作業によって10円玉を還元している。化学反応式は以下となる。

{CuO + 2 C_2 H_5 OH \rightarrow Cu + CH_3 CHO + H_2 O}

 驚くべきことにアセトアルデヒド{CH_3 CHO}が発生している!(飲酒してアルコールを摂取した時、分解の過程で発生する有害物質として知られる)

 加熱によって通常では還元されない酸化銅の酸素がエタノールと結合することによって発生する。とはいえ、水で洗い流せば、残るのは銅本体である。この場合、前出の酢酸などの酸漬けと違って「塩」が発生しない。故にさっきよりも不要物を取り除けた姿をさらしてくれそうである。

 

※なお、貨幣損傷等取締法によれば「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない」とある。造幣局によれば酸につけて洗浄することは問題ないとQ&Aコーナーで紹介されている。しかし、硬貨を加熱する行為については怪しいところが否めない。とはいえ、鋳つぶす(=溶解させる)ところまではいっていないし、損傷はしていないため大丈夫なのでは、と思うが...。実際、上記の動画投稿者が摘発されているとも思えない。

 

 

 また、酸化銅を還元する方法は他にもある。

テルミット反応」だ。テルミット反応とは、酸化鉄とアルミ二ウムを混ぜ合わせ加熱することで起こる反応である。反応式は以下。

{Fe_2 O_3 +2Al \rightarrow Al_2 O_3 +2Fe}

 この反応は、イオン化傾向(酸化還元のしやすさ、酸素との親和性の高さ)の異なる金属イオンが共存するとき、イオン化傾向の強い金属イオンと酸素イオンが結合することで起こる。要するに、鉄と酸素が結合して酸化鉄が存在しているが、そこへアルミニウムが混ざって加熱されると、酸素より親和性の高いアルミニウムと結合しようとする、故に、反応後は鉄単体が残り、アルミニウムは酸化アルミとなる。反応式的には酸化鉄とアルミニウムの比率は3:1程度。

 昔は鉄の分離や溶接技術として用いられていた。ただし、反応時は発行を伴う高温の発火が起こるため注意が必要だ。

 

 これを銅へ応用すれば銅単体を効率よく取り出せる。酸化銅の場合、反応式は以下。

{2Al +3CuO \rightarrow Al_2 O_3 +3Cu}

混ぜ合わせる粉末の比率は分子量の比率であるから、2Al= 54g/mol, 3CuO=238g/molくらいなのでAlの粉末と酸化銅の粉末を1:4くらいで混ぜて加熱すれば完全反応する。

..........と学術的には書いてはみたものの、この反応は実は非常に危険である。

確かに銅を分離することができるが、酸化銅のテルミットは軍事用に検討がなされるほど、急激な反応であり反応時は大きな爆発が起こる(以下の動画を参照)。

 おそらく、このテルミット反応は最も身近なもの(酸化銅とアルミニウム)で製造できて威力のある爆弾だといえよう。日常では決して作ってはならないしゾンビや北朝鮮兵が襲撃してきたときにでも作って投擲すべし。

※なお、10円玉と1円玉を混ぜ合わせて加熱すれば理論上は反応は起こる。しかしながら、不純物が多いため反応はしにくいと思われる。また、そもそも貨幣を粉末状にしては法に触れる。

www.youtube.com